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アスベストの見分け方は?見た目からの判断や方法、種類について詳しく解説

  • 執筆者の写真: 有限会社テクニカルサービス
    有限会社テクニカルサービス
  • 7月10日
  • 読了時間: 6分

更新日:7月10日


アスベストの見分け方は?見た目からの判断や方法、種類について詳しく解説_サムネイル

建物の解体やリフォーム時には、アスベスト(石綿)調査・対策が義務化されています。しかし、アスベストが実際に含まれているか、見た目では分かりづらく、お困りの方も多いのではないでしょうか?

この記事では、一般の方でも知っておきたいアスベストの見分け方や種類、建物での使用場所、さらには対処方法について詳しく解説します。



アスベストの見分け方:見た目だけでは不十分

まず結論として、アスベストは見た目だけでの判断が非常に難しいです。 その理由として、以下が挙げられます。


1.似た外観の建材が非常に多い

アスベスト含有製品と非含有製品で見た目が酷似しており、外観や質感、色だけでは違いは見分けられないためです。例えば、以下のような建材があります。

建材

アスベスト含有例

非含有例

石膏ボード

含有タイプあり(旧品)

現在の非含有製品とほぼ同じ見た目

吹き付け材(天井)

ザラザラした灰色系

含有なしでも同様の質感あり

スレート屋根材

灰色・薄板で共通

ノンアスベスト製品も同じ形状

2. 製造時期やメーカーごとで差異がある

たとえ同じ種類の建材でも、製造された時期やメーカーによってアスベストの有無が異なるため、「この製品にはアスベストが含まれている」と特定するのは困難です。



見た目以外のアスベスト含有の判断方法

以下の方法である程度の判断は可能ですが、最終的には専門業者による分析が必要です。


1.築年数による判断

築年数を調べることで、アスベストの規制の年代と比較し、アスベスト含有の可能性をおおまかに把握できます。


▼アスベスト関連規制の流れ

①1975年(昭和50年):特化則の改正により、石綿重量比5%を超える吹付け石綿作業が原則禁止 ただし、労働者に送気マスクなどの保護具を着用させることで、例外的に作業が可能とされていたため、吹付け作業は継続

②1995年(平成7年):石綿重量比1%を超える吹付け作業が原則禁止 対象が「吹付け」以外の石綿含有物にも拡大され、石綿重量比1%を超えるものが規制対象となりました。また、安衛法の改正により、「青石綿(クロシドライト)」および「茶石綿(アモサイト)」の製造等が禁止


③2004年(平成16年):ブレーキ、クラッチ等の10品目の石綿製品の製造・販売が禁止 石綿セメント円筒、押出成形セメント板、住宅屋根用化粧スレート、繊維強化セメント板、窯業系サイディング、クラッチフェーシング、クラッチライニング、ブレーキパッド、ブレーキライニング、接着剤の10品目が対象


④2005年(平成17年):石綿障害予防規則(石綿則)が新たに制定され、吹付け作業が全面禁止 保護具(送気マスク等)の着用の有無にかかわらず、吹付け作業自体が禁止


⑤2006年(平成18年):規制基準が石綿重量比0.1%超に強化 ただし、代替品が確立していない特定分野の部材については製造が認められ、「ポジティブリスト」として別途規定

⑥2012年(平成24年):石綿製品が全面的に製造禁止

⑦2020年(令和2年):有資格者による事前調査実施の義務付け


現行の法令では、2006年(平成18年)9月1日以降に施工に着手した建物については、アスベスト含有建材は使用されていないと判断できることになっています。 それ以前に施工着手された建物については、アスベスト含有建材が使用されている可能性があるため、有資格者による調査・分析が必要です。


アスベスト関連規制の流れ

参考:ポジティブリストとは?

2006年9月の安衛令改正により、石綿の製造は原則禁止されたが、代替技術が確立していない特定分野の部材については、技術が確立するまで製造が一時的に認められていました。これらの猶予対象製品は「ポジティブリスト」として安衛令で一覧化され、技術の確立とともに順次見直されていきました。

最終的に2012年3月、すべての対象について代替技術が確立し、石綿の完全製造禁止が実現し、その後、2018年には「石綿分析用試料」に限り、製造が特例的に認められるようになりました。 参考資料:労働安全衛生法におけるアスベスト全面禁止



2.使用場所による判断

以下のような建材や場所によく使われていたため、含有の可能性をおおよそ判断できます。

  • 天井や壁の吹き付け材

  • 外壁・屋根のスレート板

  • 石膏ボードの下地

  • 断熱材、耐火被覆材

  • 床材(ビニルタイル)や接着剤

特に天井裏古いボード壁材には、断熱材や耐火材としてアスベスト含有の可能性が高いため、取り扱いや除去には注意が必要です。


また、アスベストには種類がいくつかあり、代表的なものをご紹介します。

種類

特徴

主な用途

クリソタイル(白石綿)

最も一般的、柔らかく白色

壁・天井材、石膏ボード、 接着剤など

アモサイト(茶石綿)

硬くて茶色、耐熱性が高い

吹き付け材、パイプの保温材

クロシドライト(青石綿)

非常に細かく青みがかる、 毒性が強い

特殊な断熱材や化学工場など


3.「石綿(アスベスト)含有建材データベース」の活用

上記以外にも、環境省が提供する「石綿(アスベスト)含有建材データベース」を活用する方法があります。このデータベースは過去にメーカーが製造した建材について、種類や製造時期、アスベスト含有の有無などの情報が集約されており、簡単に確認することができます。 製品名やロットが判明している場合に限りますが、特に解体やリフォーム時に判断材料の一つとしてとても有用となります。




アスベストの調査・除去には専門資格が必要

たとえ上記の判断方法でアスベスト含有の疑いがあったとしても、各自治体や行政に対して計画や報告書の提出が義務付けられています。さらにその調査・除去工事には、専門の資格が必要と法律で定められています。

これは、十分な安全・飛散対策を取らずアスベストの除去工事を行った場合、本人だけでなく周辺の住民にも多大な健康被害をもたらす可能性があるためです。


違反した場合、罰則が科される可能性も

アスベスト調査・除去関連の法律・規則に違反した場合、厳しい罰則や行政処分の対象となります。

例えば、事前調査だけでも、特に注意しなければならない法令は、以下になります。

  • 労働安全衛生法

  • 大気汚染防止法

  • 廃棄物処理法

  • 建築基準法

例として、吹付け石綿及び石綿含有耐火被覆材等の作業について適切な措置を怠った場合、3ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科されることがあります。

アスベストの調査・除去の関連法令

アスベストの有無や対処について正確に把握・対応するには、アスベスト除去工事の専門業者に相談するのがおすすめです。



まとめ

アスベストの見分け方として、「築年数(=施工日)」「使用されている箇所」「石綿含有建材データベース」は有効ですが、最終的な判断は専門の分析が必要となります。さらにもし適切な措置を怠った場合、厳しい罰則や罰金が科されることがあるため、疑いがある場合は自分で判断せず、アスベストの専門業者に相談することが最も安全な対策です。 そうすることで、解体やリフォーム作業をスムーズに進める事ができます。


テクニカルサービスでは、豊富な経験を持つ専門スタッフが、アスベストの有無に関係する事前調査はもちろん、除去工事完了まで一貫して対応いたします。

アスベストに関するご相談がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

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